1998年に初版を刊行した拙著「讃州御国中村切高惣帳」は、御国中村切高惣帳という土地台帳と生駒藩組分侍帳という分限帳を繫いで構成したものでした。
「讃州御国中村切高惣帳」に於いては、各郷村ごとの給人氏名を石高順に表記しています。そして、「讃州御国中村切高惣帳表計算篇」では、原文書表記の順に戻しました。その表計算データを元に、「宇足郡志」等、十三ほど刊行した讃岐全域に渡る郡志では、各地域をグラフ化致しました。用例として、宇足郡の法勲寺を添付致します。こうした基礎的な作業を進めていく中で、当時の武将たちの心性に想いを馳せ、歴史と幾許かの繋がりを得てきたのが、僕の仕事でした。
地名と給人名と石高、これだけの表記から、様々な歴史事象を組み立てていくことが可能でした。この後、この仕事から、二十冊を越える新しい著作が誕生いたしました。古き佳き時代でした。
合掌。
付記
古文書講読の際、どうしても読めない箇所がございました。その夜、犬を連れて、公園を散歩しました。大きな楠がございます。そこが嘗ての一族の墳墓でした。神仏分離の際、移転を余儀なくされました。そこを通りかかった時、突風が吹き、大きな犬が尻尾を巻いてしまいました。その夜、甲冑を着た父祖が夢に現れました。そして、眼が醒め、書斎に行くと、綴じた筈の文書の懸案の箇所が開かれており、僕は読むことが出来ました。そうした経緯を経て誕生した書籍です。
合掌。