極少数の島野三郎門下を除き、何人も、フランク博士の著作が、日本で多数翻訳刊行されていた事実に思い当たることはないであろう。
フランク博士は、島野氏にとって、ペテルブルク大学文科在学当時からの大切な恩師であった。博士は、露西亜革命後、英国への亡命を余儀なくされたが、困難な亡命生活の中でも、ロシヤユ-ラシヤ学派の優れた論客として、数多の論考を発表された。
島野三郎氏は、そうした師の著作を丹念に講読、翻訳を試み、幾つも書籍を刊行された。「社会哲学」、「マルクス主義に対する批判」、「哲学概論」等である。合掌。