2012年6月8日金曜日

井筒俊彦著 「ロシア的人間」より、第九章チュチェフ





井筒俊彦教授の「ロシア的人間(弘文堂刊1953年刊行)」より、第九章チュチェフをご紹介申し上ます。
合掌。

おゝ夜の海よ、お前は何と美しいことか!
こゝは燦々と輝き、かしこは暗く濃藍色、
月光を身に浴びて、海は生きものゝやうに
歩み、呼吸し、きらめいてゐる。
涯て知らぬ自由のひろがりの上に
閃々と光り、たゆたひ、遠雷のごとくどよみ轟く
縹渺たる月光を全身に浴びた海よ、
人氣ない夜の世界に、お前は何と素晴らしいことか。
巨大なるうねりよ、汝、海のうねりよ
お前はそんなにして誰の祭日を祝つてゐるのか。
浪は轟き輝きつゝ寄せて來る。
目ざとい星達が空にまたゝいてゐる。
この動揺のさなかに、この煌燿のさなかに、
夢みるごとく茫然と私は立ちつくす。
あゝ如何に心地よいことであろうか
この魅惑の中に魂を沈め盡すことができたなら
(『無題』 1865年作 チュチェフ詩・井筒俊彦訳) 


補遺
偉大な先達の記された広範な人間学、哀しいかな、絶版書が多く、その全貌を辿ることが適いません。先達の仕事の一部でもお伝えいたしたく思い、著作権の問題がございますが、このスレッドを準備致しました。関係者各位に於かれましては、ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。 
合掌。

追記
過日、別の場所でアップロードしたものです。此方に統合します。
合掌。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。